整体院・整骨院の集客予算|新患1人に出せる上限から、月の総額を決める手順

整体院の男性院長が、新患1人あたりの獲得上限額と月間の新患目標から集客予算を計算している様子

集客費を「月5万円くらい」「売上の何%」と感覚で決めている院は、珍しくありません。感覚のままでは、新患が増えたときに予算が妥当だったのか、減ったときに増やすべきなのかを判断する物差しがありません。

整体院・整骨院の集客予算は、売上に対する割合ではなく、新患1人に出せる上限から逆算すると決められます。上限は、1人が通院するあいだに院に残る利益と、新患を受け入れられる空き枠の2つから出せます。

保険と自費の割合や、スタッフの人数によって数字は変わります。文中の金額は計算の例であり、相場ではありません。自院の数字に置き換えて読んでください。

目次

整体院・整骨院の集客予算は、売上に対する割合ではなく、新患1人に出せる上限から決める

整体院・整骨院の集客費だけを取り出した「売上の何%」という比率は、今回確認した範囲の公的な統計では見つかりませんでした。日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査(2025年度)は、施術所の経費を人件費と諸経費にまとめて公表しており、諸経費対売上高比率の平均は40.2%です。この数字には広告費以外の経費も含まれ、集客費は分かれていません。調査の対象は公庫の融資先の法人184社で、個人事業の院は含まれません。

売上に対する割合で決めると、売上が落ちた月に予算も一緒に減り、新患がさらに減りやすくなります。新患1人に出せる上限から決めておけば、売上が上下しても、予算を出すか止めるかの基準は変わりません。

出典:小企業の経営指標調査(日本政策金融公庫・2025年度調査、業種別「あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所」)

上限は、1人が通院するあいだに院に残る利益から出す

上限の出し方は、次の6つの手順です。

手順出し方計算例
①1回あたりの売上保険分と自費分を合わせた、1回の売上の平均4,000円
②平均の通院回数新患が通院を終えるまでの回数の平均6回
③1人あたりの売上①×②24,000円
④新患が増えたときに追加でかかる費用消耗品、キャッシュレスの手数料など1,000円
⑤1人あたりに残る利益③−④23,000円
⑥新患1人に出せる上限⑤の半分11,500円

⑥を⑤の半分にしているのは、平均の通院回数には途中で通院をやめる人も含まれ、売上が入るまでに数か月かかるためです。⑤の全額を集客費に使うと、新患を増やしても手元に利益が残りません。半分は一例なので、割合は自院の実績を見て調整してください。

整体院・整骨院で新患1人に出せる上限を、1人あたりの売上、残る利益、上限の順に求める3段階の図
上限は、1人が通院するあいだに院に残る利益の一部から決めます

平均の通院回数の出し方は、整体院・整骨院のリピート率|平均が当てにならない理由と、自院の数字の出し方で扱っています。

空き枠がない院は、増員にかかる人件費を引く

④を消耗品などだけにできるのは、いまの施術者の空き時間で新患を受け入れられる場合です。予約枠がすでに埋まっている院では、新患を受け入れるために施術者の増員が必要になり、その人件費が④に入ります。

この場合は、③の24,000円から自院の人件費対売上高比率の分を引き、さらに④を引きます。公庫の調査の施術所(法人)の平均は49.1%で、この数字を使うと⑤は約11,200円、⑥は約5,600円です。空き枠の有無で、上限は半分以下になります。

人件費対売上高比率の見方は、整体院・整骨院の経営が厳しい理由|黒字の院との差と、自院の数字の見方で扱っています。

上限の分を、何回目の来院で回収できるかも確かめる

⑥を①で割ると、上限の分を回収するまでの来院回数が分かります。計算例では11,500円÷4,000円で、約3回目の来院です。

初診から3回目までに通院をやめる人が多い院では、平均が6回でも回収できない新患が増えます。その場合は⑥を下げて、計算し直してください。初回と2回目以降で1回あたりの売上が違う院は、回ごとの売上を足し上げて数えます。

月の集客予算は、必要な新患数と受け入れられる新患数の小さいほうで決める

上限が出たら、月に何人の新患を狙うかを決めます。必要な人数と受け入れられる人数は食い違うことがあるため、小さいほうに合わせます。

手順出し方計算例
A.必要な新患数(月の目標売上−既存の患者から見込める売上)÷③(200万円−176万円)÷24,000円=10人
B.受け入れられる新患数月の空き枠÷新患1人が最初の1か月に使う枠32枠÷4枠(週1回の通院)=8人
C.狙う新患数AとBの小さいほう8人
D.月の集客予算の上限C×⑥8人×11,500円=92,000円

計算例では、必要な新患数は10人ですが、空き枠で受け入れられるのは8人なので、狙う新患数は8人です。月の上限は約9万円になり、これは月5〜10万円の段階にあたります。チャネルごとの配分は、整体院・整骨院の集客の費用対効果|AI検索で変わる予算の配分先で扱っています。

整体院・整骨院の月の集客予算を、必要な新患数と受け入れられる新患数の小さいほうに上限をかけて決める3段階の図
必要な人数と受け入れられる人数が食い違うときは、小さいほうに合わせます

Bの月の空き枠は、予約表で、1か月の施術枠の総数から既存の患者の予約を引いて数えます。月によって予約の入り方が違うため、直近3か月の平均を使うと、繁忙期と閑散期のどちらかに偏った数字になりません。

回収できなかった場合に、利益で受け止められるかも確かめる

月の上限が出たら、その額を使っても新患が来院しなかった場合の損失を、院の利益と比べます。日本政策金融公庫の調査では、施術所(法人)の売上高営業利益率は、平均が−1.1%、黒字かつ自己資本プラスの企業の平均が5.9%です。月の売上が200万円の院なら、営業利益は平均で約−2万円、黒字かつ自己資本プラスの企業で約12万円になります。

計算例の92,000円は、黒字かつ自己資本プラスの企業の月の営業利益の約8割にあたります。新患が来院しない状態が3か月続けば、約28万円の費用だけが残ります。平均の水準の院では、営業利益が赤字のまま集客費を負担することになります。上限の計算に加えて、回収できなかった場合に何か月まで耐えられるかを決めておくと、予算を止める時期も決まります。

損益分岐点比率や人件費対売上高比率が高い院は、集客費を増やす前に、固定費と単価の見直しが先になります。数字の見方は、整体院・整骨院の経営が厳しい理由|黒字の院との差と、自院の数字の見方で扱っています。

上限の額が手元の資金を超えるときは、狙う新患数を減らして月額を下げます。

出典:小企業の経営指標調査(日本政策金融公庫・2025年度調査)

院の状況によって、予算を決める順番が変わる

院の状況先に決めること見る数字
開業前後の院開業資金の運転資金のうち、広告宣伝費に充てる期間と額通院回数の実績がないため仮に置き、3か月後に実績へ置き換える
空き枠に余裕がある院上限のとおりに、狙う新患数を増やす新患1人あたりの費用が上限を下回っているか
予約枠が埋まっている院集客費を増やさず、単価と通院回数を先に見る枠の埋まり具合、人件費対売上高比率
新患が減っている院減った原因を切り分けてから、増額を決める来院経路ごとの新患数

開業前後の院は、開業資金の運転資金に広告宣伝費が含まれます。何か月分を見込むかは、前の章の計算で決められます。通院回数の実績がない時期は仮の数字で計算することになるため、事業計画書に書くときは、仮であることが分かるようにしておきます。開業資金の内訳は、整体院・整骨院の開業|資格の線引きと開業資金、補助金が使えない理由で扱っています。

新患が減っている院は、予算を増やす前に、地図での見え方や口コミを確かめます。

予算は、毎月かかる費用・一度きりの費用・使った分だけの費用に分けて組む

区分例止めやすさ
毎月かかる費用MEO・SEOの運用委託、広告運用の手数料、予約システムの月額契約に最低期間がないかを確かめる
一度きりの費用ホームページ制作、症状別ページの作成、チラシのデザイン作ったあとも残るが、払った分は戻らない
使った分だけかかる費用リスティング広告のクリック課金、チラシの印刷と配布止めればその月から0円

毎月かかる費用は、売上が落ちた月も払い続けます。月の上限のうち、毎月かかる費用に使うのは半分までに抑えると、残りで広告などを増減できます。半分は一例です。

整体院・整骨院の集客費を、毎月かかる費用、一度きりの費用、使った分だけかかる費用の3つに分けた図
止めやすさが違うため、費用は3つに分けて月の上限に入れます

一度きりの費用は、使う期間で割って、月の上限に入れます。制作費を使う月数で割った額を、毎月の費用として計算します。制作費を何人の新患で回収できるかは、整体院・整骨院のホームページ制作費用はいくら?相場と回収の考え方で扱っています。

補助金を前提に予算を組むと、対象外になったときに計画が崩れます。使えた分は、あとから差し引いてください。対象になる費用と外れる費用は、整体院・整骨院の補助金|ホームページ制作に使えるものと、対象から外れるもので扱っています。

予算の総額を動かす条件は、先に決めておく

  • 増やす:実績の新患1人あたりの費用が上限を下回り、空き枠にも余裕があるとき
  • 減らす:実績の新患1人あたりの費用が上限を超えた状態が、3か月続いたとき
  • 上限を計算し直す:料金を改定したとき、スタッフが増減したとき、通院回数が変わったとき

実績の新患1人あたりの費用の出し方と、チャネルごとの入れ替えの手順は、整体院・整骨院の集客の費用対効果|AI検索で変わる予算の配分先で扱っています。

業者から月額の見積もりが出たときは、月の上限と比べます。月額が上限を超えるなら、狙う新患数と、1人あたりの費用の見込みが根拠として示されているかを確かめてください。広告を出す場合の規制は、整体院・整骨院のWeb広告|リスティングでホームページも規制対象にで扱っています。

FAQ

よくある質問

整体院・整骨院の集客予算について、よくいただく質問にお答えします。

整体院・整骨院の集客予算は、売上の何%が目安ですか?

公的な統計では、集客費だけを取り出した比率は確認できません。売上に対する割合で決めると、売上が落ちた月に予算まで減ってしまいます。1人の新患に出せる上限と、受け入れられる新患の人数から、月額を計算してください。

開業したばかりで通院回数の実績がないときは、どうやって上限を計算しますか?

同じ地域や同じ施術内容の院の平均は、公的には示されていません。まず6回や8回など仮の回数を置いて計算し、開業後3か月たったら自院の実績に入れ替えてください。仮の回数を事業計画書に書くときは、仮の数字であることを添えます。

予約枠がすでに埋まっている院は、集客予算を増やさなくてよいですか?

新患を受け入れる余地がないため、予算を増やしても来院にはつながりません。先に見るのは、料金と通院回数、人件費です。枠に空きができた時点で、上限を計算し直してください。人件費の見方は、整体院・整骨院の経営が厳しい理由|黒字の院との差と、自院の数字の見方で扱っています。

集客予算が少ないときは、最初に何へ使えばよいですか?

月3万円前後であれば、MEOと口コミを先に固め、広告か症状別ページのどちらか1つに絞る進め方があります。月の上限が計算できたら、その額をどのチャネルに振り分けるかを決めます。配分の例は、整体院・整骨院の集客の費用対効果|AI検索で変わる予算の配分先で扱っています。

ホームページの制作費は、集客予算に入れますか?

入れます。一度きりの費用なので、使う期間で割った額を、毎月の予算に加えてください。毎月の運用費や、広告のクリック課金とは区分を分けて数えると、止める判断がしやすくなります。制作費の目安と回収の考え方は、整体院・整骨院のホームページ制作費用はいくら?相場と回収の考え方で扱っています。

整体院・整骨院の集客予算は、新患1人に出せる上限を計算するところから

集客予算は、売上に対する割合ではなく、新患1人に出せる上限から決めます。上限は、1回あたりの売上、平均の通院回数、追加でかかる費用の3つが分かれば計算できます。月の総額は、必要な新患数と受け入れられる新患数の小さいほうに、上限をかけて出します。

まずは、直近の新患10人がそれぞれ何回通院したかを、カルテか予約表で数えて平均を出してください。その平均に1回あたりの売上をかけると、新患1人あたりの売上が分かります。ここまで分かれば、あとは本文の表に沿って、新患1人に出せる上限まで計算できます。

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当社では、中小企業診断士が貴院の状況や目標を伺い、新患1人に出せる上限の計算から、月の予算の組み方、いま契約している業者の月額が妥当かの確認までご相談を承ります。

「いくらまでかけてよいのか分からない」「提案された月額が妥当か確認したい」という段階からご相談いただけます。
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ご相談内容を確認後、担当者よりご連絡します。

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