整体院・整骨院のリピート率|平均が当てにならない理由と、自院の数字の出し方

整体院・整骨院の男性院長が新規患者と2回目来院の人数を集計し、自院のリピート率を確認している様子

「整体院・整骨院のリピート率」を検索すると、50〜60%という数字と、21.7%という数字が同時に出てきます。数字が違えば、自院の状態がよいのか悪いのか判断できません。

リクルートが2026年7月に公表した調査では、接骨・整骨を保険適用なしで利用した人の年間平均回数は6.6回でした。ただし内訳を見ると、最も多いのは「年1〜2回」で40.9%を占めます。平均の6.6回どおりに通っている患者は、実はそれほど多くありません。

この記事では、まず出回っている平均値の食い違いを確認したうえで、自院のリピート率を計算する方法と、数字が下がる原因、ホームページでできる対策までを順に見ていきます。

目次

整体院・整骨院のリピート率の平均は、はっきりした数字がない

「50〜60%」と「21.7%」、出典を確認する

「整体院・整骨院の平均リピート率は50〜60%」という数字は、集客系のコラムでよく見かけます。目安として使われている数字ですが、出典が明記されていないことが多く、確認できません。根拠に当たれない以上、自院の数字と比べる基準にはしない方が安全です。

もう1つの「21.7%」は、中小企業基盤整備機構が2021年7月に実施した「整骨院(2021年版)」調査(国内20〜60代男女1,000人・インターネット調査)が出典として引用されています。ただし元の調査本文に当たると、整骨院を「現在も利用している」人の割合は10%(男性10%・女性9%)でした。これは日本の成人のうち整骨院を使っている人の割合であり、来院した患者が2回目に来る割合ではありません。21.7%という数字は調査本文には見当たらず、算出の根拠を確認できませんでした。

新しい調査を見ても、平均の裏に偏りがある

より新しい調査として、リクルートの「鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2026」があります。接骨・整骨を保険適用なしで利用した人(n=963)に、1年間の施術回数を聞いた結果は次のとおりです。

年間の利用回数割合
1〜2回40.9%
3〜5回26.6%
6〜10回14.4%
11〜15回7.8%
16〜20回2.0%
21回以上8.3%
平均6.6回

年1〜2回で終わる人が約4割いる一方、21回以上通う人も8.3%います。平均の6.6回は、この両端をならして出てきた数字です。年代別では50代7.1回、20代5.6回と差もあります。なお平均回数は2023年6.5回、2024年6.7回、2025年6.6回、2026年6.6回と、ここ4年ほぼ動いていません。

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出典:株式会社リクルート/ホットペッパービューティーアカデミー

鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2026
(2026年7月9日公表/調査対象は20〜50代男女。保険適用の有無は回答者の自己申告によるもので、制度上の適用可否を確認したものではありません)

先ほどの中小機構の調査でも、整骨院利用者のうち来院頻度が「年に1回以下」の人は62%でした。こちらは保険診療を含む利用者全体が対象で、リクルートの調査とは分母が異なります。定義の違う数字どうしを直接比べることはできませんが、どちらの調査でも年1〜2回で終わる層が最も多いという形は共通しています。

他院の平均と比べるより、自院の患者がどこで離れているかを見る方が、次に打てる手につながります。

自院のリピート率を計算する

一番基本の式

リピート率は、新規患者のうち2回目に来院した人の割合で出します。

リピート率(%)= 2回目に来院した新規患者数 ÷ 新規患者数 × 100

たとえば、ある月に来院した新規患者が20人で、そのうち12人が2回目の予約を入れていれば、リピート率は60%です。

集計する期間をそろえる

新規患者数と2回目来院数の集計期間がずれていると、数字は簡単に動きます。「今月の新規患者数」と「先月来た新規患者のうち今月2回目に来た人数」を混ぜて計算すると、数字は実際より高くも低くも動いてしまいます。新規患者を月ごとにグループ分けし、それぞれのグループが何%再来院したかを追ってください。この形にすれば期間のズレによる誤差は出ません。

整体院・整骨院のリピート率を保険診療と自費施術に分けて数える理由を示した図。保険診療は症状が落ち着けば終わるのが本来の姿で回数を増やす対象にしない、自費施術は継続を前提とし通院が続いているかが成果になる
保険診療と自費は性質が違うので分けて数える

初回→2回目と、その後の継続は分けて見る

リピート率を1つの数字にまとめると、「初回で離脱している」のか「数回通ったあとに来なくなっている」のかが見分けられません。初回2回目の到達率と、3回目以降の継続率を分けて追うと、対策を打つ場所がはっきりします。初回で離脱が多いなら来院前の情報不足、数回後に離脱が多いなら通院中の説明や見通しの問題という具合に、原因の当たりをつけられます。

保険診療と自費は分けて数える

整体院・整骨院の施術は、保険診療自費施術で性質が異なります。保険診療は、症状が落ち着けば終わるのが本来の姿です。通院が途中で終わること自体は失敗ではありません。一方、自費施術は継続を前提に設計されているため、通院が続いているかどうかがそのまま成果に直結します。

性質が違うものを1つの分母にまとめると、リピート率が動いた理由を読み違えます。保険診療の患者が計画どおり卒業した月と、自費施術の患者が離脱した月が、同じ「リピート率の低下」として現れてしまうためです。集計するときは、保険診療と自費施術を分けたうえで、それぞれの数字を見てください。

保険診療の側の回数感覚も、公開されている資料で確かめられます。厚生労働省の社会保障審議会・柔道整復療養費検討専門委員会に2026年1月30日に提出された資料では、令和6年10月分の支給申請書を抽出集計した結果として、1ヶ月あたりの施術回数は3回以下が全体の半分弱、10回以上は約1割強と報告されています。

そのうえで、保険診療は通院を引き延ばす対象ではありません。同じ資料では、初検日から5ヶ月を超えて、かつ1ヶ月あたり10回以上の施術を継続している場合、後療料・温罨法料・冷罨法料・電療料が所定料金の50%に相当する額で算定されること、その患者は保険者の判断で償還払いに変更できる対象になることが示されています。長期にわたる漫然とした施術は、療養費の適正化の観点から問題視されている領域です。回数を増やす取り組みは、自費施術の側で考えてください。この線引きについては、後半の「書き方には線引きがある」でもあらためて触れます。

出典:柔道整復療養費の令和8年度改定の基本的な考え方(案)について(厚生労働省・PDF)

整体院・整骨院のリピート率を保険診療と自費施術に分けて数える理由を示した図。保険診療は症状が落ち着けば終わるのが本来の姿で回数を増やす対象にしない、自費施術は継続を前提とし通院が続いているかが成果になる
整骨院の施術は、保険診療(療養費)と自費施術で性質が異なります。保険診療は症状が落ち着けば終わるのが本来の姿で、通院が途中で終わること自体は失敗ではありません。一方の自費施術は継続を前提に設計されるため、通院が続いているかどうかがそのまま成果になります。1つの分母に混ぜると数字が動いた理由が読めなくなることを示した図です

数字が下がるとき、原因は来院前から始まっている

通い続けている人は、何を理由に挙げているか

先ほどのリクルートの調査では、1年以内に利用した施設を継続利用している理由も聞いています。接骨・整骨の利用者(n=963/複数回答)の回答は、上位から次の順でした。

継続利用している理由割合
予約が取りやすい32.8%
自宅から近い・交通の便がよい32.6%
ネット予約できる29.4%
料金がリーズナブル26.5%
待ち時間が少ない25.4%
スタッフの技術が高い20.9%
効果が明確・実感できる18.1%

技術と効果は6番目と7番目です。上位に並んでいるのは予約の取りやすさ、通いやすさ、料金という、施術そのものより手前にある条件でした。このうち立地を除けば、いずれも来院前にホームページで伝えられる情報です。同じ調査を分析した研究員のコラムでも、施設への満足と不満はどちらも来店前の情報で決まっているという結果が示されています。

施術のあとに起きていること

「次はいつ来ればいいか」が患者に伝わらないまま会計を終えると、次の予約は入りません。院内での説明が丁寧でも、帰り際にもう一度、次回の見通しを言葉にして渡しておかないと、患者の記憶には残りにくくなります。

来院する前の期待とのズレ

リピート率が下がる原因は、来院した後だけにあるとは限りません。「どれくらいの頻度で、何回くらい通うことになるのか」を来院前に知らないまま来た患者は、実際に通ってみて想定と違うと感じた時点で来なくなります。来院前の期待と、通院してからの現実がずれていれば、施術の内容自体に問題がなくても患者は離れていくのです。

ここから先は、この「来院前の期待とのズレ」をホームページ側でどう埋めるかという話になります。

通院の見通しをホームページで先に伝える

先ほどの継続理由の上位は、症状別ページ・料金ページ・予約の経路・利用者の声という4か所に置き換えられます。順に見ていきます。

通院の見通しを来院前に伝える4か所を示した図。症状別ページで回数の目安に触れる、料金ページで通ったときの合計を示す、予約の連絡経路を電話だけにしない、通えた人の声で期待値を合わせる
来院前に伝えておける4か所

症状別ページで回数の目安に触れる

症状ごとに分けたページで、その症状に対する施術方針と、通院回数の目安に軽く触れておくと、来院前の期待値がずれにくくなります。断定はせず、「症状の程度によって異なります」という留保を添えたうえで、目安の幅を示す書き方にしてください。症状別ページの作り方は、整体院・整骨院の症状別ページの作り方|腰痛・肩こりで検索に見つかるコツにまとめています。

料金は初回だけでなく、通ったときの合計が見えるように出す

継続理由の4位に「料金がリーズナブル」が入っていましたが、これは安いかどうかだけの話ではありません。初回料金だけを大きく見せるページは、想定していなかった費用が後から発生している印象を患者に与えます。何回か通った場合の目安金額まで示しておくと、来院前に総額のイメージを持ってもらえます。ホームページにかかる費用と、その回収の考え方は、整体院・整骨院のホームページ制作費用はいくら?相場と回収の考え方で扱っています。

次回の連絡経路を持っておく

ネット予約できる」を継続理由に挙げた人は29.4%で、3番目に多い項目でした。予約の連絡経路が電話だけだと、次回来院までの心理的なハードルが上がります。LINE公式アカウントのように気軽に返信できる経路を用意しておくと、体調の相談や予約変更のやり取りがしやすくなります。SNSとLINE公式アカウントの運用については、整体院・整骨院のSNS運用|InstagramとLINEで続けられる集客の作り方で詳しく扱っています。

通えた人の声を集める導線と重ねる

実際に通院を続けた患者の声は、これから通う人の期待値を現実的な水準に合わせる働きをします。口コミを集める導線と、リピート率を上げる取り組みは、別々の施策ではなく重なる部分が大きいものです。口コミの集め方は、整体院・整骨院の口コミが重要な理由|集め方とやらせと思われない工夫とはにまとめています。

書き方には線引きがある

ここまでの内容をホームページに反映するときは、表現の線引きに注意してください。

効果を保証する表現や、症例を誇張する書き方は避けてください。「通院すれば必ず改善します」のような言い切りは、効果に個人差がある以上、避ける必要があります。

あはき法・柔整法の広告ガイドラインでは、ホームページは原則として広告規制の対象外とされています。広告に当たるかどうかは3つの要件で判断されますが、ホームページは患者が自ら検索して見に来るものであり、そのうちの認知性(不特定多数が認知できる状態にあること)を満たさないためです。

ただし、チラシや広告からホームページへリンクしている場合は、リンク先も含めて一体の広告として扱われるため、この場合は規制の対象になります。ホームページ単体だから何を書いてもよいという意味ではありません。

表現できる範囲の詳細は、整体院・整骨院のチラシ規制|経歴も症状名も書けない理由とホームページとの違いで扱っています。

保険適用について触れる場合は、骨折・脱臼の施術には医師の同意が必要であることをあわせて明記してください。省略すると、保険適用の範囲を誤解させる書き方になります。

FAQ

よくある質問

整体院・整骨院のリピート率について、よくいただく質問にお答えします。

整体院・整骨院のリピート率の平均はどのくらいですか

はっきりした「平均」と呼べる数字は確認できていません。よく使われる「50〜60%」は出典が明記されておらず、「21.7%」も、元になった中小企業基盤整備機構「整骨院(2021年版)」調査の本文を確認すると、来院患者の再来院率ではなく、日本の成人のうち整体院・整骨院を利用している人の割合(10%)から作られた別の指標でした。近い数字としては、リクルート「鍼灸・接骨院に関する利用実態調査2026」で、接骨・整骨を保険適用なしで利用した人の年間回数が平均6.6回、最も多い層は年1〜2回で40.9%と報告されています。ただしこれも来院した患者が2回目に来る割合ではありません。他院の数字と比べるより、自院の新規患者数と2回目来院数から実際の数字を出してください。

何回目までを数えればいいですか

まずは「2回目に来院したかどうか」を基準にします。新規患者のうち何人が2回目の予約を入れたかを数え、リピート率(%)として出してください。そこから先の継続(3回目以降)は、初回→2回目の到達率とは別の指標として追うと、離脱の原因を切り分けやすくなります。

保険診療と自費は分けて数えるべきですか

分けて数えてください。保険診療(療養費)は症状が落ち着けば終わるのが本来の姿で、通院が終わること自体は失敗ではありません。自費施術は継続を前提に設計されているため、続いているかどうかがそのまま成果になります。性質が違う2つを1つの分母にまとめると、数字が動いた理由を読み違えます。

リピート率が下がったとき、まず何を見ればいいですか

来院前と来院後のどちらで離脱が起きているかを、まず見てください。初回で離脱が多いなら、症状別ページや料金ページなど来院前に伝わる情報が不足している可能性があります。数回通ったあとに離脱が多いなら、施術後の説明や次回の見通しの伝え方を見直してください。

自院の数字を出すところから始める

整体院・整骨院のリピート率は、業界の平均値を探しても、はっきりした基準にはたどり着けません。自院の新規患者数と2回目来院数を数え、保険診療と自費施術を分けて集計するところから始めてください。

数字を出したあとは、リピート率が下がっている箇所が来院前にあるのか、通院中にあるのかを見極め、ホームページで伝えられる情報から手を入れると、次の一手が見えてきます。

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