整体院・整骨院のWeb広告|リスティングでホームページも規制対象に

整体院の女性院長と広告担当者が、リスティング広告とリンク先ホームページの表示内容を確認している様子

Googleで「整体 広告」と入力すると、候補にはリスティング広告、Meta広告LINE広告PPC広告といった媒体の名前が並びます。ところが「整骨院 広告」で同じことをすると、出てくるのは広告規制、広告制限、広告違反、広告ガイドラインばかりです。

同じ手技を扱う業種で、調べられていることがここまで食い違うのには理由があります。整骨院・接骨院には、整体にはない広告の制限が法律でかかっているからです。そしてこの制限は、広告そのものだけでなく、広告のリンク先であるホームページにまで及びます。

ただし、この業種でWeb広告が効かないという話ではありません。来院できる範囲にしか患者がいない商圏の狭さは、配信する地域と時間を絞れる広告とかみ合います。制限の輪郭を先に確かめたうえで、どこで効かせるかまで見ていきます。

目次

整体院・整骨院のWeb広告は、他の業種と同じようには出せない

検索されている内容が、業種によって大きく異なっている

整体・整体院は国家資格を必要としない施術で、整骨院・接骨院・鍼灸院・治療院は柔道整復師またはあはき師の国家資格を必要とする施術所です。実際に検索候補を調べてみると、整体・整体院側にはリスティング広告Meta広告LINE広告PPC広告といった広告の出し方に関する候補が並んだ一方で、国家資格を必要とする施術所側には出稿方法を調べる候補がほとんど見当たらず、出てくるのは規制やガイドライン、違反に関する候補ばかりでした。「整骨院 リスティング」で調べ直しても手応えは薄く、「整骨院 web広告」「整骨院 google広告」に至っては候補が1件も出てきません。媒体名で出稿方法を調べる検索は、国家資格が必要な施術所側にはほとんど存在していません。

整体・整体院ではリスティング広告やMeta広告など広告の出し方が検索されているのに対し、整骨院・接骨院・鍼灸院・治療院では広告規制や広告違反など規制に関する内容が検索されている
2026年8月にGoogleの検索候補を実測。媒体名で調べられているのは整体の側だけでした。

差を作っているのは、柔道整復師法第24条の広告制限

柔道整復師法第24条は、書いてよい事項を並べ、それ以外を全部禁じる形を取っています。あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第7条も同じ構造です。整体には、これにあたる条文がありません。整体を名乗る施術のうちあん摩マツサージ指圧に該当する行為については別途議論がありますが、少なくとも第24条の広告制限がそのまま適用される関係にはありません。媒体名の検索が整体側にだけ現れるのは、この差によるものと考えられます。

リスティング広告は、ガイドライン上の「広告」に当たる

厚生労働省が令和7年2月18日に出した「あはき・柔整広告ガイドライン」(正式名称は文末の出典を参照)が、何が広告に当たるかを具体的に示しています。

広告に当たるかどうかは、3つの要件で決まる

要件内容
誘引性利用者を施術所等に誘引する意図があること
特定性施術者の氏名または施術所等の名称が特定可能であること
認知性一般人が認知できる状態にあること

ガイドラインは、この3つを「いずれも満たす場合に該当するものと判断されたい」としています。

リスティング広告・動画広告・SNS広告は、媒体として名指しされている

ガイドラインのⅡの5は、広告に該当する媒体の具体例を挙げています。そこに、電子メール、インターネット上のバナー広告、リスティング広告、動画広告、SNS広告が並んでいます。脚注でリスティング広告を「広告サービスにお金を払って検索結果に表示できる広告」と定義したうえでの記載です。

検索結果の広告枠に貴院の広告を出した時点で、それは紙のチラシと同じ土俵に乗ります。チラシ側で何が書けなくなるかは、整体院・整骨院のチラシ規制で扱っています。

Web広告を出すと、リンク先のホームページまで広告として扱われる

ホームページは、原則として広告に当たらない

ガイドラインのⅡの6(6)は、施術所のウェブサイトについて、情報を得ようとする人が自分でURLを入力したり検索したうえで閲覧するものであるため、3要件のうち認知性を満たさず、引き続き原則として広告とは見なさないとしています。症状の説明や施術内容をホームページに載せられるのは、この原則があるためです。

ただし、対象外だから何を書いてもよい、ということではありません。ガイドラインのⅥの2は、この項目が「インターネット上の施術所等の情報全般を対象とする」と定めています。広告に当たらないウェブサイトにも、Ⅵの4の掲載すべきでない事項は及びます。虚偽や誇大な内容、他院との比較で優良性を示す表現、加工した施術前後の写真、体験談がそこに並びます。

広告からの入り口ができた時点で、一体のものとして扱われる

ところがガイドラインのⅥの1(1)は、バナー広告等にリンクしている施術所のウェブサイトを別に扱います。バナー広告等と一体的な関係にあるため一般人が容易に認知できる状態にあり、認知性の要件を満たすとしています。同じⅥの1(1)は、リスティング広告や動画広告を例示したうえで、それらを「入り口として閲覧するウェブサイト等についても、広告として規制される媒体と一体であることから規制対象となる広告として取り扱う」と続けます。

誘引性と特定性はもともと満たしているので、認知性がそろった時点で3要件が埋まります。

広告を出していないときは認知性を満たさず原則として広告に当たらないが、リスティング広告を出すと広告とホームページが一体的な関係になり認知性を満たす
あはき・柔整広告ガイドラインⅥの1(1)にもとづく。広告を出した時点で、リンク先のホームページも広告として扱われます。

症状別ページや施術方法の説明が、書ける事項の外に出る

腰痛や肩こりで検索されるために作った症状別ページ、施術の流れ、手技の説明。ホームページには掲載できますが、広告として扱われる範囲に入ると、次の章で見る「広告できる事項」から外れます。整体院・整骨院の症状別ページの作り方で積み上げてきた内容ほど、この影響を受けます。

広告費を払った結果、いちばん見せたいページが見せられなくなる。避け方は決まっていて、院名、所在地、施術時間、予約、駐車場だけで完結する着地ページを1枚用意し、症状別ページを広告の入り口にしないことです。書ける事項が限定列挙になっている分、何を載せるかで迷う余地は少なくなります。

それでも出すなら、広告に書ける事項はどこまでか

柔道整復で広告できる事項の一覧

区分広告できる事項
法第24条第1項第1号柔道整復師である旨、その氏名および住所
同第2号施術所の名称、電話番号、所在の場所を表示する事項
同第3号施術日または施術時間
同第4号
厚生労働大臣が指定する事項
ほねつぎ(または接骨)
法第19条第1項前段の規定による届出をした旨
医療保険療養費支給申請ができる旨
予約に基づく施術の実施
休日または夜間における施術の実施
出張による施術の実施
駐車設備に関する事項

この一覧が全部です。施術のメニュー名、対応する症状、料金、実績、口コミは、どこにも入っていません。

ただし写真やイラスト自体が禁じられているわけではなく、ガイドラインのⅢの2(1)は、広告できる事項であれば写真、イラスト、映像、音声で表現してよいとしています。制限がかかるのは、主に事項の側です。ただし手段が自由になるわけではありません。

ガイドラインのⅡの3は、写真やイラストが広告できない事項を暗示的・間接的に表す場合を認めておらず、病人が回復して元気になる姿のイラストを例に挙げています。医療保険療養費支給申請ができる旨については、脱臼または骨折の患部の施術に係る申請に関して、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限られます。

技能・施術方法・経歴は、書ける事項の中でも触れられない

柔道整復師法第24条第2項は、第1項第1号および第2号の事項を広告する場合であっても、その内容が「柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたってはならない」と定めています。院名と氏名を出すこと自体は認められていても、そこに「〇〇流」「痛くない」「高い技術」といった要素を混ぜられません。ガイドラインは経歴の例として、養成校や学会、有名人のトレーナーである旨まで挙げています。ホームページ側で先に確認しておく項目は、整体院・整骨院のホームページで確認したい7項目にまとめてあります。

なお自費の整体やリラクゼーションのメニューは、柔道整復の業務ではないため第24条とは別の整理になりますが、景品表示法は業種を問わず効きます。初回料金や回数券の書き方は整体院・整骨院の初回料金と回数券で扱いました。

出典:柔道整復師法あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(いずれもe-Gov法令検索)
あはき・柔整広告ガイドライン(厚生労働省・令和7年2月18日)

整体院・整骨院がWeb広告を出す利点は、商圏の狭さとかみ合うこと

では、その範囲でも広告を出す価値はどこにあるのか。前提として、出す先の検索は実在します。同じ方法で調べる言葉を変えてみると、「整骨院 交通事故」や「整骨院 予約」では、患者側の入り口になる候補が数多く枝分かれしていました。広告の出し方を調べる経営者側の検索がほとんど伸びていないのとは対照的です。

そのうえで、この業種で意味を持つ理由が3つあります。1つ目は商圏の狭さと直接かみ合います。

配信する地域と時間を、来院できる範囲に絞れる

整体院・整骨院に来るのは、徒歩か自転車、車で通える範囲の人だけです。検索連動型の広告は、配信する地域を市区町村や半径で指定でき、曜日と時間帯も指定できます。受付時間外の表示を止め、院の周辺に絞れば、来られない人に使う費用を減らせます。ただしGoogleは、地域ターゲティングについて「あらゆる状況で100%の精度が保証されるわけではありません」としており、既定の設定では、その地域に関心を示した圏外の人にも表示されます。半径は1km以上でしか指定できません。

来院が前提で商圏が狭いことは不利な条件として語られがちですが、広告の設計では有利に働きます。

開院直後の、検索で見つかるまでの時間を埋められる

検索で順位がつくまでにも、Googleビジネスプロフィールが地図に出るまでにも時間がかかります。開院した週から新規患者を呼び込みたいなら、広告を使う方法があります。媒体の審査を通れば表示が始まるので、検索や地図の表示が育つまでの間を、広告でつなぐことができます。

ただし、広告文に書ける事項が狭い業種なので審査で不承認になり、出し直しになることがあります。開院日に合わせるなら、審査の往復の日数を見込んでおいてください。

使った費用と結果が数字で出る。合わなければ止められる

広告は、いくら使って何回クリックされたかが管理画面に出ます。検索や口コミは、どの取り組みが来院につながったのかを切り分けにくいままです。

閑散期だけ出すという使い方ができ、月々の固定費になりません。

整体院・整骨院の広告費は、自院の数字が出てから決まる

費用を払って表示順を買わずに済むのは、検索対策と地図対策

ガイドラインが広告として扱うのは、検索サイトの運営会社等に費用を支払うことによって意図的に上位に表示される状態にしたものです。検索の順位を上げる取り組みと、Googleビジネスプロフィールの整備は、これに当たりません。

ただし、地図の側には別の線が引かれています。ガイドラインのⅥの4(2)は、ウェブマッピング等で自院が他院より優良に見える情報を載せるために、利用者に謝礼を支払ったり依頼したりしてコメントを書かせることを禁じています。表示順を買わないことと、口コミの集め方が自由なことは別です。口コミの集め方は整体院・整骨院の口コミが重要な理由で扱っています。

広告を出さなければ、ホームページは原則対象外のまま使えます。着手の順番は整体院・整骨院のSEO対策、地図の枠での見え方は整体院・整骨院のMEO対策で扱っています。

決め手になるのは、広告費の相場ではなく自院の数字

地域名ですでに上位に出ている院や、紹介と再来が新規の大半を占めている院では、広告費を足しても増える余地は小さくなります。出すと決めたら、判断材料になるのは広告費の相場ではありません。1人の新規患者が最終的にいくらになるかです。

見るのは初回の単価ではなく、平均で何回通い、合計いくらになるかです。ここを把握したうえで月額を決めれば、広告が効いているかどうかをあとから確かめられます。

FAQ

よくある質問

整体院・整骨院のWeb広告について、よくいただく質問にお答えします。

整体院・整骨院のリスティング広告は、広告規制の対象になりますか?

あはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月18日 厚生労働省)のⅡの5は、広告に該当する媒体の具体例として、電子メール、インターネット上のバナー広告、リスティング広告、動画広告、SNS広告を挙げています。検索結果の広告枠に出稿した時点で、ガイドライン上の広告として扱われます。紙のチラシと同じ規制がかかるものとして、広告文の内容を検討してください。

Web広告を出すと、ホームページも広告として扱われますか?

ガイドラインのⅥの1(1)は、バナー広告等にリンクしている施術所のウェブサイトについて、バナー広告等と一体的な関係にあることによって一般人が容易に認知できる状態にあるため、認知性の要件を満たすとしています。またリスティング広告や動画広告を例示したうえで、それらを入り口として閲覧するウェブサイト等についても、広告として規制される媒体と一体であることから規制対象となる広告として取り扱うとしています。ホームページが原則として広告に当たらないのは認知性を満たさないためなので、広告を出すとその前提が崩れます。

整体院・整骨院の広告に書ける事項は、どこまでですか?

柔道整復師法第24条第1項が挙げているのは、柔道整復師である旨と氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在の場所を表示する事項、施術日または施術時間、そして厚生労働大臣が指定する事項です。指定事項は、ほねつぎ(または接骨)、届出をした旨、医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼または骨折の患部の施術に係る申請については、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限られます)、予約に基づく施術の実施、休日または夜間における施術の実施、出張による施術の実施、駐車設備に関する事項の7つです。さらに同条第2項により、柔道整復師の技能、施術方法、経歴に関する事項には触れられません。症状名、メニュー名、料金、実績、口コミは含まれていません。

整体院・整骨院の広告費は、何を決めてから出すべきですか?

広告費の相場をいくらに置くかより先に、1人の新規患者が最終的にいくらになるかを把握してください。初回の単価ではなく、平均で何回通って合計いくらかという数字です。ここが出ていない状態で月額を決めると、広告が効いているのかどうかを後から検証できません。あわせて広告の遷移先を、広告できる事項だけで成り立つページにしておく必要があります。院名、所在地、施術時間、予約、駐車場の範囲で完結する着地ページを別に用意し、症状別ページを広告の入り口にしない設計です。

整体院・整骨院がWeb広告を出す利点は何ですか?

来院できる範囲にしか患者がいない業種なので、配信する地域を市区町村や半径で指定でき、曜日と時間帯も絞れる点が第一の利点です。受付時間外の表示を止め、院の周辺だけに配信すれば、来られない人に費用を使わずに済みます。第二に、自然検索やGoogleビジネスプロフィールが効き始めるまでには時間がかかるため、開院直後のその時間差を埋める使い方ができます。第三に、いくら使って何回クリックされたかが数字で出るので、合わなければ止められます。閑散期だけ出すという使い方もでき、月々の固定費になりません。

Web広告を出せるかどうかは、広告の入り口をどこに置くかで決まる

Web広告で見落とされやすいのは、広告を出すとリンク先のホームページまで一体の広告として扱われる点です。症状別ページをそのまま広告の入り口にすると、いちばん見せたいページが書ける事項の外に出ます。

裏を返せば、広告の入り口を、院名、所在地、施術時間、予約、駐車場だけで完結する1枚に絞れば、この問題は小さくできます。ただし、着地ページを足せば規制の外に出られるわけではありません。ガイドラインのⅥの4が掲げる掲載すべきでない事項は、広告に当たらないページも含めてサイト全体に及んだままです。そのうえで、配信する地域と時間を来院できる範囲に絞れること、開院直後の時間差を埋められること、合わなければ止められることは、商圏の狭いこの業種では利点として働きます。今日できるのは、遷移先のページが広告できる事項だけで成り立つかを確かめることです。

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