整体院・整骨院の助成金と補助金の違い|スタッフ・設備・ホームページ別の選び方

整体院・整骨院の助成金や補助金を検索すると、聞き慣れない制度名が次々と出てきて、自院がどれに当たるのか分からなくなります。
実際に町の院が候補にできる制度は、それほど多くありません。スタッフを雇っているかどうかと、何にお金を使うかという2つの点で、当てはまる制度はほぼ絞り込めます。
整骨院には保険の施術があり、補助金では対象になる費用とならない費用が分かれます。免許を持たずに営む整体には、そもそも保険の施術がありません。また、院長ひとりで営む院は、業種を問わず雇用の助成金の対象にも当たりません。
助成金と補助金の違いは、審査で選ばれるかどうか
助成金と補助金は、どちらも「国や自治体からもらえるお金」として並べて語られますが、しくみが違います。違いは、審査で選ばれるかどうかにあります。
助成金は、要件を満たせば原則として受け取れる
助成金は、多くは厚生労働省が所管し、雇用や労働環境の整備を目的にしています。決められた要件を満たして申請すれば、原則として受け取れます。事業計画の内容を審査され、優劣で採否が決まる仕組みではありません。
補助金は、審査で採択された院だけが受け取れる
補助金は、多くは経済産業省・中小企業庁が所管し、新しい取り組みへの支援を目的にしています。要件を満たしていても、提出した事業計画の内容が審査され、採択された院だけが受け取れます。予算の上限に達すると、募集そのものが早めに締め切られることもあります。事業計画書の書き方は、整体院・整骨院の事業計画書|公庫の書式10項目の書き方と記入例で、記入例つきで扱っています。
| 助成金 | 補助金 | |
|---|---|---|
| 目的 | 雇用・労働環境の整備 | 新しい取り組みへの支援 |
| 審査 | 要件を満たせば原則として受け取れる | 事業計画の内容で採否が決まる |
| 受付の時期 | 制度ごとに定められた期間がある | 公募回ごとに期間が区切られる |
| お金が入る時期 | 取り組みを終えたあとの後払い | 事業を終えたあとの後払い |
| 相談先 | 社会保険労務士 | 商工会・商工会議所、中小企業診断士 |
整体院・整骨院の助成金は、2つの質問で絞り込める
制度の種類を1つずつ覚える必要はありません。「スタッフを雇っているか」と「何にお金を使うか」の2つの質問に答えるだけで、自院が候補にできる制度はおおむね絞り込めます。

スタッフを雇っていなければ、雇用の助成金は対象にならない
キャリアアップ助成金や業務改善助成金といった雇用の助成金は、事業主が雇用している労働者を対象にした制度です。院長ひとりで施術している院は、対象になる労働者がいないため、この種類の助成金の対象になりません。家族だけで運営している院も、家族が雇用保険の対象になっていなければ同様に対象外です。
保険の施術に使うお金は、補助金の対象から外れる
持続化補助金は、保険診療の報酬が適用されるサービスを対象から外しています。整体院・整骨院で使えるのは、自費メニューの案内やホームページ、設備投資といった、保険の施術以外に使う費用の範囲です。
スタッフを雇っている院は、キャリアアップ助成金と業務改善助成金
スタッフを雇用している院で候補になるのは、主にキャリアアップ助成金と業務改善助成金の2つです。どちらも厚生労働省の助成金ですが、目的が異なります。

非常勤のスタッフを正社員にするなら、キャリアアップ助成金
厚生労働省のキャリアアップ助成金(令和8年4月8日時点の案内)の正社員化コースは、有期雇用の労働者を正社員にすると受け取れる金額が決まっています。1人あたり重点支援対象者で80万円、それ以外で40万円です。無期雇用から正社員にする場合は、重点支援対象者で40万円、それ以外で20万円です。取り組みの前日までに「キャリアアップ計画」を提出しておく必要があります。正社員への転換に関する情報を自院のホームページで公表すると、1事業所あたり20万円が加算される仕組みもあります。
時給の引き上げと機械購入をまとめて行うなら、業務改善助成金
厚生労働省の業務改善助成金(令和8年度)は、院で最も低い時給を50円以上引き上げ、あわせて生産性向上につながる設備投資を行った場合に、その費用の一部を助成する制度です。上限は最大600万円ですが、実際に受け取れる額は、引き上げる人数と幅で決まる区分ごとの上限額で決まります。たとえば50円コースで1人であれば40万円が目安です。
対象になるのは、院の事業場内最低賃金が令和8年度の地域別最低賃金を下回っている場合で、雇用している労働者がいない院は対象になりません。POSレジや顧客管理のシステム化、国家資格者による業務フローの見直しといった費用が対象例として挙げられています。一方、治療機器の購入は、生産性向上に資する設備投資に当たるかどうかが審査されます。
令和8年度は9月1日から、地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日のどちらか早い日までが受付期間ですが、予算の上限に達すると期間内でも募集が早めに締め切られることがあります。賃金の引き上げは申請の後に行い、地域別最低賃金の発効日の前日までに済ませます。交付決定を受ける前に、助成の対象になる設備を導入した場合は対象から外れます。
助成金の申請は、社会保険労務士に相談する
助成金の申請書類の作成や提出の代行は、社会保険労務士の業務です。制度が複雑で自院だけでは判断しにくいときは、顧問の社会保険労務士か、地域の労働局・ハローワークの窓口に相談してください。
ホームページや自費メニューの集客には、持続化補助金
ホームページの制作や自費メニューの案内にお金を使いたい院で候補になるのは、小規模事業者持続化補助金です。中小企業庁が所管する補助金で、商工会・商工会議所の管轄地域ごとに公募が行われます。
「最大1億円」の補助金は、町の院の設備投資には大きすぎる
補助金を検索すると、上限額が1億円に達するような制度名を見かけることがあります。事業の大規模な転換や業種を丸ごと変えるほどの設備投資を想定した制度で、町の整体院・整骨院が行う設備投資の規模とはかけ離れています。自院に合う補助金を探すときは、上限額の大きさではなく、対象になる経費と自院の使い道が一致しているかで見極めてください。
持続化補助金の上限は50万円、補助率は3分の2
小規模事業者持続化補助金(第20回公募要領)の一般的な枠は、補助上限50万円、補助率3分の2です。インボイス特例で50万円、賃金引上げ特例で150万円が上乗せされ、両方を満たすと200万円まで上乗せされます。対象になるのは、常時使用する従業員が5人以下の商業・サービス業で、保険診療の報酬が適用されるサービスは対象から外れています。交付決定より前に発注した費用は対象になりません。ホームページ制作費のうちどこまでが対象になるかの細かい線引きは、整体院・整骨院の補助金|ホームページ制作に使えるものと、対象から外れるもので扱っています。
補助金の要件は毎年変わるため、申請の代行ではなく、事業計画の組み立てだけを中小企業診断士に相談したい院もあります。この記事の監修を担当した三戸部裕司は、株式会社クレスクントの代表として、補助金と資金調達の事業計画づくりを支援しています。

マイナ保険証と自治体の補助金は、窓口が別にある
ここまでに挙げた助成金・補助金のほかに、マイナ保険証への対応や、自治体独自の補助金を探す院もあります。どちらも窓口が別になるため、内容だけ押さえておいてください。
マイナ保険証の補助は、支払基金の案内で確認する
オンライン資格確認やマイナ保険証への対応にかかる補助は、社会保険診療報酬支払基金の案内で確認する制度です。金額や申請期限は年度ごとに見直されるため、最新の案内を直接確認してください。
自治体の補助金は、院のある市区町村のページで探す
創業や店舗改装を対象にした補助金を、自治体が独自に設けていることがあります。内容や金額は自治体ごとに大きく異なるため、院のある市区町村のホームページで確認してください。
整骨院の助成金も補助金も、先に払ったお金は戻ってこない
制度によって窓口や金額は違っても、注意点は共通しています。この記事で扱う制度では、先に動いてから申請する形は認められません。

発注や契約は、計画の提出や交付決定のあとにする
業務改善助成金は交付決定より前に設備を導入すると対象から外れ、持続化補助金は交付決定より前に発注した費用が対象になりません。キャリアアップ助成金も、取り組みの前日までに計画を提出しておく必要があります。見積もりを取る段階までは進めても構いませんが、契約や発注は必ず、計画の提出や交付決定のあとに行ってください。
お金が入るのは、支払いと報告を済ませたあと
助成金も補助金も、多くは事業を終えて支払いと報告を済ませたあとの後払いです。手元の資金繰りが厳しいときの当面の支払いには充てられません。資金繰りそのものの見方は、整体院・整骨院の経営が厳しい理由|黒字の院との差と、自院の数字の見方で扱っています。
「国から委託を受けた」と名乗る勧誘は、その場で断る
厚生労働省は、委託を受けたと装って助成金の活用を勧める事業者がいると注意を呼びかけています。そうした勧誘を受けたら、その場で申し込まず、制度を所管する窓口に直接確認してください。
FAQ
よくある質問
整体院・整骨院の助成金・補助金について、よくいただく質問にお答えします。
開業前でも使える助成金はありますか?
開業前に使える助成金は、ほとんどありません。助成金の多くは、すでに雇用している労働者を対象にした制度で、開業前は対象になる労働者がいないためです。開業時の資金や、助成金が使えない理由については、整体院・整骨院の開業|資格の線引きと開業資金、補助金が使えない理由で扱っています。
院長ひとりの整骨院でも使える制度はありますか?
院長ひとりで営む院には、雇用している人がいないため、キャリアアップ助成金や業務改善助成金は使えません。ホームページ制作や自費メニューの案内にお金を使うのであれば、小規模事業者持続化補助金が候補になります。
柔道整復師などの国家資格がなくても、助成金や補助金は使えますか?
雇用に関する助成金は、施術者の資格の有無を問いません。雇用の要件を満たせば、キャリアアップ助成金や業務改善助成金の対象になります。一方、小規模事業者持続化補助金は保険診療の報酬が適用されるサービスを対象から外しているため、保険を扱わない施術であれば対象になり得ますが、断定はできません。申請のたびに最新の公募要領で確認してください。
助成金と補助金は同時に使えますか?
制度を併用できる場合もありますが、同じ経費に対して複数の制度から重複して受け取ることはできません。助成金と補助金のどちらも、対象にする経費が重ならないように申請内容を分けてください。
自院で使える制度は、雇う人と使い道で決まる
整体院・整骨院の助成金や補助金は、スタッフを雇っているかどうかと、何にお金を使うかの2つの質問に答えるところから絞り込めます。雇用しているならキャリアアップ助成金と業務改善助成金、ホームページや自費メニューへの投資なら持続化補助金が主な候補です。
次に、該当した制度の最新の案内・公募要領を必ず確認してください。金額や期限は年度ごとに見直されます。
そのうえで、助成金の申請書類の作成は社会保険労務士に、補助金の事業計画づくりは中小企業診断士に相談すると、自院だけで判断するより迷いが少なくなります。
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ご相談内容を確認後、担当者よりご連絡します。