整体院・整骨院の初回料金と回数券|「初回○○円」で誤解を生まない書き方

整体院・整骨院の男性施術者が、女性客の肩を施術している様子と回数券をイメージしたカード

整体院・整骨院の初回料金を「初回2,980円」と大きく打ち出すと、予約は増えます。ただ、そこから通常料金に戻ったときや、回数券をすすめたときに、思っていた話と違うという顔をされることがあります。

金額そのものではなく、通常いくらなのか、次からいくらになるのか、途中でやめたらどうなるのかが、予約する前に読めていないことが原因です。ここは書き方の問題として直すことができます。

割引価格の見せ方、回数券に書いておく項目、ホームページのどこに条件を置くかを扱います。

目次

整体院・整骨院の初回料金は、通常料金と並べて書く

「初回〇〇円」は強調表示で、条件はその打消し表示に

目立つ表現で価格を打ち出した表示を強調表示、そこから読み手が通常は予期できない例外や条件を書いた表示を打消し表示と呼びます。消費者庁は、この2つを「」の関係にあるものとして扱っています。

強調表示は、対象のすべてについて無条件に当てはまるものとして受け取られます。「初回2,980円」だけを見た人は、自分が払う額は2,980円だと考えます。適用が初回の1回だけであること、対象が特定のメニューに限られること、2回目以降は通常料金になることは、そこからは読み取れません。

消費者庁は、打消し表示が読み手に正しく伝わっているかを、文字の大きさ、強調表示との文字サイズのバランス、配置箇所、背景との区別といった要素から総合的に判断するとしています。条件を書いてあるかどうかではなく、同じ画面で同時に読めるかどうかが見られます。

出典:打消し表示に関する表示方法及び表示内容に関する留意点(消費者庁)

整体院・整骨院の初回料金の書き方を示した図。条件を下のほうや折りたたみに入れる形と、金額のすぐ下に対象メニュー・適用回数・2回目以降の金額を置く形の対比
条件を書いてあるかではなく、同時に読めるかが見られる

通常価格として書けるのは、実際に提供している金額だけ

「通常5,000円 → 初回2,980円」のように2つの価格を並べる形は、二重価格表示と呼ばれます。消費者庁の価格表示についての考え方は、商品だけでなく役務の価格表示にも適用されると本文に明記しています。整体院・整骨院の自費メニューも対象です。

問題になるのは、比較のために掲げた通常価格で実際には提供していない場合です。「当院通常価格」のような、以前からその金額で提供してきた印象を与える名称を付けながら、実際の提供実績がないときは、不当表示に当たるおそれがあるとされています。

過去の価格を持ち出すときの目安も示されています。開始時点からさかのぼった8週間のうち、その価格で提供していた期間が過半を占めていれば、最近相当期間にわたって販売されていた価格とみてよいとされています。ただし通算2週間未満のときや、その価格で提供した最後の日から2週間以上たっているときは該当しません。

さらに、割引の実施を決めたあとに提供を始めたメニューについては、期間を正確に書いたとしても不当表示のおそれがあるとされています。割引に見せるために通常価格を先に掲げる形は、期間を明示しても認められません。

出典:不当な価格表示についての景品表示法上の考え方(消費者庁)

スマホで折りたたむと、条件は読まれない

条件はページの下のほうにまとめてあります、という作りをよく見かけます。消費者庁の調査では、強調表示から1スクロール以上離れた場所にある打消し表示は、同じ画面にあるものより読まれない傾向が出ています。

タップで開く折りたたみに入れる形も同じです。初期状態で表示されていないため、開く必要があると気づかなければ、そのまま予約に進みます。ラベルが抽象的なときは、なおさら開かれません。

初回2,980円」を書いた場所のすぐ下に、対象メニュー、適用回数、2回目以降の金額を置いてください。ここを離すほど、来院してから説明する手間が増えます。

この考え方は、ホームページだけの話ではありません。消費者庁は紙面広告、動画広告、パソコンとスマートフォンのWeb広告のすべてを対象に整理しています。InstagramやLINEで初回料金を告知するときも、金額と条件は同じ投稿の中に置いてください。

SNS側の運用は整体院・整骨院のSNS運用|InstagramとLINEで続けられる集客の作り方で扱っています。

整体院・整骨院の回数券は、契約の中身を先に書く

指針は「正確に理解した上で購入できる表示」を求めている

あはき・柔整の広告ガイドラインは、自費による施術を行う施術所等について、回数券やプリペイドカード等を販売する場合は、その商品の内容や契約内容を利用者が正確に理解した上で購入できるよう表示することを求めています。

同じ項では、掲載場所への配慮も示されています。リンクを貼った先のページに置いたり、利点に関する情報と比べて極端に小さな文字で載せたりする形は控えることとされています。

回数券の条件を、料金ページの下の注記だけで済ませる作りは、この考え方と合いません。

出典:あはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月18日・厚生労働省、Ⅵの3)

回数券のページに書いておく6項目

回数券は、支払いが先で施術があとになります。買う時点で総額と条件が読めていないと、あとから食い違いが出ます。次の6つを、購入ボタンより上に置いてください。

項目書く内容
総額と1回あたり税込の総額と、割ったときの1回あたりの金額
対象メニューどの施術に使えるか、使えないメニューはどれか
有効期限発行日からの期間。期限を過ぎた分の扱い
利用者本人のみか、家族への譲渡を認めるか
中途解約受け付けるかどうか、受け付ける場合の計算方法
返金返金の可否と、差し引く手数料の有無

広告規制の全体像と、ホームページで確認したい項目は整体院・整骨院のホームページで確認したい7項目|広告規制と情報掲載の注意点で扱っています。

整体院・整骨院の回数券のページに載せる6項目を示した図。総額と1回あたり、対象メニュー、有効期限、使える人、中途解約、返金
支払いが先で施術があと。買う時点で総額と条件が読めるようにする

有効期限を6ヶ月より長くすると、別の法律が視野に入る

役務の数量に応じた対価を受け取って発行し、提示することでその役務を請求できる証票は、資金決済法上の前払式支払手段に当たります。施術の回数を書いて先に代金を受け取る回数券は、この形に近いものです。

ただし、発行の日から6ヶ月以内に限り使用できるものは、同法の適用から除外されています。有効期限を発行日から6ヶ月以内に設定している回数券であれば、この章の規定はかかりません。

期限をそれより長くしたり、期限を設けなかったりする場合は、未使用残高の管理が関わってきます。3月31日と9月30日の時点で未使用の残高が1,000万円を超えると、届出や供託の対象になります。1院で超える規模ではないとしても、複数店舗で回数券を共通にしている場合は、金額を把握しておく必要があります。

該当するかどうかは、券面の書き方や運用によって変わります。有効期限を長く取る方針であれば、金融機関や専門家に自院の券の形を見せて確認してください。

整体院・整骨院の回数券はこう検索されている

サジェストに並ぶのは、断り方とトラブル

Googleで「整体院 回数券」「整骨院 回数券」と入力したときに出る候補を、2026年8月に実測しました。

検索語続けて入力される言葉
整骨院 回数券しつこい/相場/断り方/トラブル/返金/解約/違法/なぜ
整体 回数券クーリングオフ/相場/返金/断り方/なぜ/医療費控除/トラブル
整骨院 初回初回無料/初回 料金/初回荒らし/所要時間

買い方を調べる言葉ではなく、断る、解約する、返してもらうという言葉が並びます。すでに買った人、すすめられて困っている人が検索しています。

この並びが自院の回数券の評価を決めるわけではありません。ただ、初めて回数券をすすめられた患者は、帰り道でこの検索結果を読みます。条件が読めるページを自院に先に置いておけば、その人が最初に開くのは自院のページになります。

整体院・整骨院の回数券についてGoogleで表示される検索候補を示した図。しつこい、相場、断り方、トラブル、返金、解約、違法が並ぶ
買い方ではなく、断り方と解約が並ぶ

クーリング・オフは、整体院・整骨院の施術には定めがない

特定商取引法には、契約後に一定期間内であれば解約できる特定継続的役務提供の仕組みがあります。対象はエステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つで、整体院・整骨院や接骨院の施術は含まれていません。回数券について、法律上のクーリング・オフの定めはないことになります。

1つ気をつける点があります。エステティックは「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術」と定められています。痩身や体型を目的としたメニューを自費で出していて、期間が1ヶ月を超え、金額が5万円を超える契約であれば、この7つに入る可能性があります。

自院のメニュー名と説明文を見て、判断がつかなければ消費者センターや専門家に確認してください。

出典:特定継続的役務提供(消費者庁)

だから、中途解約と返金の条件は自分で決めて書く

法律に定めがないということは、条件を自分で決められるということです。同時に、決めて書いておかないと、その場のやり取りで決まってしまうということでもあります。

解約時に違約金を取る形にする場合は、消費者契約法に上限があります。解除に伴う損害賠償や違約金を定める条項は、同じ種類の契約の解除で事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分が無効とされています。全額返さないという条件は、この規定に触れる可能性があります。

残回数分を返す、事務手数料を差し引く、施術済みの回数は通常料金で計算し直すといった扱いを先に決め、そのまま回数券のページに書いてください。ここが書いてあると、購入時の説明が短くなります。

なお、初回で来た人が2回目に来るかどうかを追う考え方は整体院・整骨院のリピート率|平均が当てにならない理由と、自院の数字の出し方で扱っています。

回数券の販売本数と、実際に使い切られた割合は、分けて数えていきましょう。

整体院・整骨院の初回料金と回数券を、ホームページのどこに書くか

予約ボタンの手前に、条件を置く

消費者庁は、初回の価格の安さが強調される一方で解約条件が打消し表示に書かれている場合に、契約期間内の総額費用について誤認が生じるとしています。定期購入を例にした説明ですが、初回割引から回数券につなぐ流れは、読み手から見て同じ形です。

予約フォームに進む直前が、患者が金額を最後に確認する場所です。ここに、初回の適用条件と2回目以降の金額を短く置いてください。予約ボタンより下に置くと、多くの人は読まずに進みます。

公開前に見る7項目

確認すること
初回料金の対象メニューと適用回数が、金額のすぐ下に書いてあるか
2回目以降の金額が、同じ画面で読めるか
通常価格として書いた金額で、実際に施術を提供しているか
条件を折りたたみやリンク先だけに置いていないか
回数券の総額、有効期限、中途解約、返金が購入ボタンより上にあるか
条件の文字が、強調した金額に比べて極端に小さくないか
院内掲示・Googleビジネスプロフィール・チラシの金額と食い違っていないか

最後の項目は毎回抜けます。特にチラシは、ホームページと規制のかかり方が違うため、同じ文言をそのまま転記できません。

書き分けの範囲は整体院・整骨院のチラシ規制|経歴も症状名も書けない理由とホームページとの違いで扱っています。

FAQ

よくある質問

整体院・整骨院の初回料金と回数券について、よくいただく質問にお答えします。

整体院・整骨院で「初回2,980円」と書くのは問題ありますか

初回割引そのものは問題ありません。書き方の条件がつきます。目立つ表現で打ち出した価格は、対象のすべてに無条件で当てはまるものとして受け取られるため、対象メニュー、適用が初回の1回だけであること、2回目以降の金額を、同じ画面で読める場所に置いてください。消費者庁は、こうした条件の表示(打消し表示)が伝わっているかを、文字の大きさ、強調した金額との文字サイズのバランス、配置箇所、背景との区別から総合的に判断するとしています。条件を書いてあるかどうかではなく、同時に読めるかどうかが見られます。

「通常5,000円→初回2,980円」と並べて書いてもいいですか

通常価格として書いた金額で、実際に施術を提供していることが前提です。消費者庁の価格表示についての考え方は役務の価格表示にも適用されると明記されており、整体院・整骨院の自費メニューも対象です。提供実績のない金額に「当院通常価格」のような名称を付けて並べると、不当表示に当たるおそれがあります。過去の価格を持ち出す場合は、開始時点からさかのぼった8週間のうちその価格で提供していた期間が過半を占めていることが目安とされ、通算2週間未満のときや、その価格で提供した最後の日から2週間以上たっているときは該当しないとされています。割引を決めたあとに提供を始めたメニューについては、期間を正確に書いたとしても不当表示のおそれがあるとされています。

整体院・整骨院の回数券に、クーリング・オフはありますか

特定商取引法の特定継続的役務提供の対象は、エステティック、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービスの7つで、整体院・整骨院や接骨院の施術は含まれていません。回数券について法律上のクーリング・オフの定めはありません。ただしエステティックは「人の皮膚を清潔にし若しくは美化し、体型を整え、又は体重を減ずるための施術」と定められているため、痩身や体型を目的としたメニューを自費で出していて、期間が1ヶ月を超え金額が5万円を超える契約であれば該当する可能性があります。判断がつかない場合は消費者センターや専門家に確認してください。

回数券の有効期限は、どのくらいに設定すべきですか

施術の回数を書いて先に代金を受け取る回数券は、資金決済法上の前払式支払手段に近い形です。ただし発行の日から6ヶ月以内に限り使用できるものは同法の適用から除外されています。期限をそれより長くしたり期限を設けなかったりする場合は、3月31日と9月30日の時点で未使用の残高が1,000万円を超えると届出や供託の対象になります。1院で超える規模ではないとしても、複数店舗で回数券を共通にしている場合は金額を把握してください。該当するかどうかは券面の書き方や運用で変わるため、有効期限を長く取る方針であれば専門家に自院の券の形を見せて確認してください。

初回料金も回数券も、決めてから書く

初回割引も回数券も、それ自体が問題になるものではありません。問題になるのは、条件を決めないまま金額だけを先に出すことです。2回目以降いくらか、途中でやめたらどうなるか。この2つを決めていれば、あとは書く場所を選ぶだけになります。

いま公開している料金ページと予約ページを開いて、割引価格のすぐ下に条件が書いてあるか、回数券の総額と有効期限と返金の扱いが購入ボタンより上にあるかを見てください。離れている項目を近づけるだけで、来院してから説明する手間が減ります。

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