整体院・整骨院のチラシ規制|経歴も症状名も書けない理由とホームページとの違い

整体院・整骨院の院長が紙のチラシとホームページを見比べ、広告表現を確認している様子

整体院・整骨院のチラシ規制は、ホームページの規制とはまったく別のものです。チラシは、書いてよいことが法律であらかじめ決められています。一方、ホームページは、原則として広告規制の対象になりません。

この違いを知らずに、ホームページの文章をそのままチラシに使ってしまう院はかなり多いです。同じ文章でも、載せる場所が変われば扱いが変わります。

2025年2月には、厚生労働省がこの分野の広告について判断の基準をまとめた指針を示しました。その内容をもとに、チラシに書けること・書くと問題になりやすいこと・ホームページとの違いを整理します。

目次

整体院・整骨院のチラシ規制とは?書けることが法律で決まっている

整体院・整骨院のチラシで守るべき中心の法律は、柔道整復師法(以下、柔整師法)です。第24条には、こう書かれています。

柔道整復の業務又は施術所に関しては、何人も、文書その他いかなる方法によるを問わず、次に掲げる事項を除くほか、広告をしてはならない

柔道整復師法第24条第1項

一方で、ここがふつうの広告のルールと決定的に違います。
「これはダメ」という禁止リストはなく、「これは書いてよい」という許可リストだけがあります。

つまり考える順番が逆です。「この表現は禁止されていないか」ではなく、「この表現は許可リストに載っているか」で確認します。載っていなければ、内容が事実でも原則として書けません。

経歴や技術は名前に添えることもできない

もう1つ、見落とされやすい決まりがあります。同じ第24条の第2項で、柔道整復師の技能・施術方法・経歴は書けないと定められています。また、厚生労働省の指針も「一切認められない」としています。

たとえば、こういう表現です。

  • 技術・施術方法にあたる例:高い技術、唯一の技術、慢性病の根本治療、〇〇流接骨術、痛くない鍼
  • 経歴にあたる例:〇〇養成校卒業、〇〇先生に師事、〇〇資格を〇〇年に取得、〇〇学会会員

院名や柔道整復師の氏名は書けます。しかし、そこに「柔道整復師歴20年」「〇〇流の手技を習得」と添えることはできません。

院長が最も自然にやってしまうところなので注意しましょう。

鍼灸やマッサージを併設しているなら、もう1つ法律がかかる

鍼灸やあん摩マッサージ指圧も行っている院には、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(以下、あはき師法)も同時にかかります。

しかし、仕組みは柔整師法と同じで、書ける事項が限られ、技術・経歴は書けません。

加えて、この分野の広告には景品表示法もかかります。「地域No.1」「他院より安い」といった表示は、柔整師法の問題であると同時に、根拠を示せるかという景品表示法の問題にもなります。

ホームページ側の掲載項目は、整体院・整骨院のホームページで確認したい7項目|広告規制と情報掲載の注意点で整理しています。

チラシに書けることの一覧

厚生労働省の指針では、広告にあたるものの例として、真っ先にチラシが挙げられています。ダイレクトメールやポケットティッシュも同じ扱いです。

したがって、内容は次の一覧になります。

区分書いてよい事項
柔整師法第24条柔道整復師である旨、その氏名及び住所
柔整師法第24条施術所の名称、電話番号、所在の場所を表示する事項
柔整師法第24条施術日又は施術時間
厚生労働大臣が指定ほねつぎ(又は接骨)
厚生労働大臣が指定施術所の届出をした旨
厚生労働大臣が指定医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼・骨折の患部の施術に係る申請は、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)
厚生労働大臣が指定予約に基づく施術の実施
厚生労働大臣が指定休日又は夜間における施術の実施
厚生労働大臣が指定出張による施術の実施
厚生労働大臣が指定駐車設備に関する事項

この一覧を見て、多くの院長が違和感をもつはずです。集客のために書きたいことの大半が入っていません。

施術メニュー料金手技の説明院長の経歴対応している症状患者の声。一覧に入っているかどうかだけで決まります。

書くと問題になりやすい表現

実際の運用と違うこと

厚生労働省の指針が挙げている例です。

  • 土日祝日は受付をしていないのに「年中無休」「休日も朝から晩まで対応します!」
  • 深夜は受付をしていないのに「24時間施術」
  • 駐車料金が発生するのに「無料駐車場あり」
  • 新人が施術することもあるのに「出張施術はすべて院長が施術します!」
  • 「厚生労働省認可施術所」「都道府県知事の許可取得済み」

最後の1つは、特に見落とされます。施術所の開設は届出であって、認可でも許可でもありません。

「どんな方も保険が使えます」という書き方も同じです。筋肉痛肩こり保険は適用されないため、大げさな表現として扱うべきとされています。

なお、指針は、誤解を与えたかどうかの判断について、実際に誰かが誤解したという結果までは必要としないと明記しています。「今まで何も言われていないから大丈夫」とは考えない方が安全です。

効果や症状を思わせる表現

院長が一番書きたいのは、おそらくここでしょう。「肩こりでお悩みの方へ」「腰の痛みが軽くなります」といった表現です。

しかし、効果に関することは書いてよい一覧に入っていません。指針は、元気になった姿のイラストのような間接的な表現も認められないとしています。病気を治す技能を保証すると受け取られるおそれがあるためです。「レディース鍼灸」のような名称も、施術方法や女性特有の疾患を思わせるとして認められません。

文字を避けて、イラストや名称で伝えようとしても同じ扱いです。

施術前後を比べる写真も注意が必要です。効果があるように見せるために加工・修正した写真は、事実と違う広告として扱うべきとされています。撮影の条件を変えて撮ったものも同様です。加工の有無にかかわらず、効果を示す目的での掲載は避けるのが安全です。

他院との比較やNo.1

「地域No.1」「当院が一番」といった表現は、他院より優れている旨の広告として適切ではないとされています。加えて景品表示法の面でも、根拠を示せないNo.1表示は問題になり得ます。根拠があるかどうか以前に、そもそも適切ではないとされているという二重構造です。

ホームページはチラシと規制が違う

ここまで読んで「では何も書けないのではないか」と感じた方も多いと思います。ここからが、この記事で一番お伝えしたい部分です。

施術所(整体院・整骨院)のホームページは、原則として広告規制の対象になりません。

なぜホームページは対象外なのか

指針では、広告にあたるかどうかを次の3つで判断するとしています。

要件内容
誘引性利用者を院に呼び込む意図があること
特定性施術者の氏名や院の名称が分かること
認知性一般の人が目にできる状態にあること

チラシはポストに入るので、求めていない人の目にも入ります。だから3つ目を満たします。一方ホームページは、見たい人が自分で検索してたどり着きます。指針は、求めていない人の目に勝手に入らないので3つ目を満たさない、と整理しています。

インターネット上の施術所等のウェブサイト等は、当該施術所等の情報を得ようとの目的を有する者が、自らURLを入力したり、検索サイトで検索した上で閲覧するものであるため、本指針Ⅱの1に掲げた③の「認知性」を満たさないものとして、従来情報提供や広報として扱ってきた。これらについては、引き続き原則として広告とは見なさないこととする。

あはき・柔整広告ガイドライン Ⅱ-6(6)(令和7年2月18日 厚生労働省)

ただし、効果を書けるようになるわけではない

ここを誤解すると危ないので、はっきり書きます。規制の対象外だからといって、何を書いてもよいわけではありません。

広告にあたらないホームページについても、載せるべきでない内容を具体的に挙げています。

  • 「治ります」「根本治療」「〇〇に効きます」など、効果を示す表現
  • 「改善率〇%以上」「たった1回で効果を実感」「顧客満足度No.1」など、数字を使った表現
  • 加工・修正した施術前後の写真
  • 「日本一」「No.1」「口コミサイトで1位を獲得」など、他院と比べる表現
  • 著名人が来院している旨

ホームページなら、施術内容・費用・リスクといった、患者が院を選ぶために必要な情報を正確に載せられます。ここが自由度が上がる部分です。効果や優位性を訴えてよくなるわけではありません。

指針は、ホームページに載せるべき事項として施術内容・費用・リスクを挙げています。

 チラシ・DMホームページ
広告規制の対象対象になる原則として対象外
施術内容・料金書ける一覧にない正確であれば載せられる
効果・症状の表現書ける一覧にない載せるべきでないとされている
No.1・比較認められない載せるべきでないとされている

広告を出すと、ホームページも規制の対象になる

大きな例外があります。次のものは広告として扱うとしています。

  • リスティング広告、バナー広告、動画広告
  • 費用を払って検索結果の上位に表示させたもの
  • SNSでの書き込み
  • 掲載料を払っている紹介サイトのページ

そのうえで、これらの広告からリンクしているホームページについても、広告と一体のものとして規制の対象になるとしています。広告を経由して来た人にとっては、そのホームページも「目にできる状態」にあるからです。

これは実務でかなり大きな意味をもちます。「ホームページは対象外だから」と自由に書いたまま広告を回すと、そのホームページ全体が広告として扱われます。広告出稿を考えている院は、出す前にホームページ側の記載を見直してください。

広告に頼る前にホームページ自体を見直す考え方は、整体院・整骨院の集客が伸びない原因とホームページの活かし方でも触れています

なお、Googleビジネスプロフィールは指針に直接の記載がなく、上の3要件で判断します。

ただし口コミについては、謝礼を渡したり依頼したりして、自院に有利なコメントを書いてもらうことはすべきでないと明記されています。詳しくは整体院・整骨院のMEO対策で解説しています。

チラシとホームページで、書ける内容にはこれだけの違いがあります。「今の自院のホームページはどうなっているだろうか」と気になった方は、無料でご相談ください。制作のご依頼がなくても構いません。

整体院・整骨院のチラシを作る前の確認リスト

原稿ができたら、印刷に回す前に確認してください。制作会社に頼む場合も、入稿前に院長ご自身が目を通してください。

入稿前チェックリスト

  • 書いた内容が、書いてよい事項の一覧に入っているか
  • 院長の経歴・資格・手技の名前を書いていないか
  • 症状名や効果を思わせる表現・イラストになっていないか
  • 施術時間・休日・駐車場の記載が、実際の運用と合っているか
  • 「認可」「許可」という言葉を使っていないか
  • 「No.1」「唯一」など、他院と比べる表現がないか
  • 保険が誰でも使えるかのような書き方になっていないか
  • ホームページの文章をそのまま使っていないか
  • 鍼灸・マッサージを併設しているなら、そちらも確認したか

迷ったら保健所に確認を

広告規制の実際の運用は、所轄の保健所が担っています。国から指針が示されて基準は整理されましたが、個別の表現が認められるかどうかの最終的な判断は行政の側にあります。当社のような制作会社は、法的な判断を下せる立場にはありません。

施術所の広告について、相談窓口を設けている自治体もあります。新しくチラシを作るとき、これまでと違う表現を使いたいときは、事前に相談するのが確実です。

そのうえで当社は、確認できた範囲の情報をどう伝えるか、その設計をお手伝いします。書けることが限られていても、写真の選び方、情報の並べ方、レイアウトによって伝わり方は変わります。

チラシ制作についてはオプションのチラシのページをご覧ください。

FAQ

よくある質問

整体院・整骨院のチラシ規制について、よくいただく質問にお答えします。

チラシに施術メニューや料金は書けますか?

柔道整復師法第24条と告示が定める広告できる事項の一覧に、施術メニューや料金は含まれていません。書ける事項は限定列挙されているため、一覧にないものは原則として広告できないとされています。具体的な運用は所轄の保健所にご確認ください。

ホームページに書いてある内容を、そのままチラシに使えますか?

使えない場合があります。施術所のホームページは原則として広告規制の対象外とされていますが、チラシは広告に該当する媒体として明示されています。同じ文言でも媒体が変われば扱いが変わるため、転用の前に確認が必要です。

「地域No.1」と書いてはいけませんか?

厚生労働省のガイドラインでは、他の施術所等と比較して優良である旨の広告は適切ではないとされています。加えて景品表示法上も、合理的な根拠を示せないNo.1表示は問題となり得ます。根拠の有無以前に、比較優良広告として不適切とされ得る点にご注意ください。

ホームページなら何を書いても大丈夫ですか?

いいえ。原則として広告規制の対象外ですが、ガイドラインは、虚偽や誇大な内容についてはウェブサイトの情報提供も含めて厳に慎むべきものとしています。また、リスティング広告やバナー広告を出稿した場合、そのリンク先であるホームページも広告と一体のものとして規制の対象になり得ます。

2025年のガイドラインで何が変わりましたか?

従来この分野には国が示した明文の指針がありませんでしたが、令和7年2月18日に厚生労働省から「あはき・柔整広告ガイドライン」が示されました。広告に該当するかどうかの判断基準、広告できる事項の内容、禁止される広告の具体例、ウェブサイトの扱いが文書として整理されています。

規制に触れてしまうとどうなりますか?

所轄の保健所による指導の対象となり、関係する法令によっては罰則の適用対象となり得ます。運用は自治体により異なるため、判断に迷う表現は事前に所轄の保健所へご相談ください。

まとめ

整体院・整骨院のチラシ規制は、柔道整復師法第24条が「広告してよい事項」だけを列挙する仕組みです。だから、書きたいことの多くが載せられません。施術メニュー・料金・経歴・対応症状はいずれも一覧の外にあります。

一方で、施術所のホームページは利用者が自ら検索して見に行きます。そのため「認知性」を満たさないとされ、原則として広告規制の対象外です。チラシに書けない情報でも、ホームページなら情報提供として掲載し得ます。

ただし、虚偽・誇大な内容は載せるべきでないとされています。また、リスティング広告などを出稿すると、そのリンク先であるホームページも広告として扱われ得ます。

チラシとホームページは、別のルールで動いています。まず自院がどちらに何を載せているかを整理したうえで、判断に迷う表現は所轄の保健所に確認する。この順番が一番安全です。

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中小企業診断士が貴院の状況を伺い、課題と優先順位を整理します。広告規制を踏まえたホームページ制作・チラシ制作から、SEO・MEO、広告運用まで対応します。個別の表現が認められるかどうかの最終的な判断は所轄の保健所が行うため、当社は保健所へのご確認を前提に、制作と設計をお手伝いします。

「今のホームページやチラシで、どこを確認すればよいか分からない」「広告を出したいが、何から手をつければよいか分からない」という段階でも大丈夫です。ご相談内容に応じて、確認すべき順番と、必要な施策・費用の目安を分かりやすくご案内します。
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