整体院・整骨院のLPとホームページの違い|広告に出すなら規制がかかる

広告を出そうと制作会社に相談すると、たいてい「LPを1枚作りましょう」という提案がついてきます。ホームページはすでに公開しているのに、なぜもう1枚要るのか。ここが腑に落ちないまま、話だけが進みます。
LPとホームページの違いは、ページ数でも見た目でもありません。訪れた人を回遊させるか、1つの行動だけを取らせるかという設計の違いです。そしてこの業種には、もう1つ固有の事情があります。
LPを広告の着地先にすると、そのページは施術所のホームページと同じようには扱われない可能性があります。厚生労働省のあはき・柔整広告ガイドラインが、規制の対象となった広告を入り口として閲覧するウェブサイト等を、その広告と一体のものとして扱うとしているためです。
役割の違い、載せる要素、そして規制がどこまで及ぶかを、法令とガイドラインの原文にあたって確かめます。
LPはランディングページの略で、1つの行動だけを取らせる1枚のページ
LPは、広告や検索から流入した人が最初に着地するページを指します。Web制作の現場では、予約や問い合わせという1つの行動だけを目的にした縦長の1枚ページを指して使います。
ホームページとの違いは、ページ数ではなく回遊させるかどうか
ホームページは、院の情報を種類ごとに分けて置き、訪れた人に見て回ってもらう作りです。トップから施術メニュー、料金、アクセス、スタッフ紹介へ枝分かれし、どこから入っても目的のページにたどり着けるよう内部リンクを貼ります。LPはその逆で、他のページへ出ていく道を意図的に作りません。上から下まで読んだ先に、予約の手段だけが置いてあります。
1枚に閉じるのは、離脱を減らすためです。広告費を払って呼んだ人にメニュー一覧を見せれば、比較と検討が始まり、そのまま離れます。回遊はホームページの長所ですが、広告の着地先では短所に変わります。
症状別ページとも違う。LPは広告の受け皿として単独で完結する
症状別ページも1つのテーマに絞って作りますが、こちらは検索から流入させ、料金ページやアクセスページへ回遊させる前提です。書き足しながら順位を育てる資産でもあります。LPは広告を止めれば役目を終えるので、寿命の考え方から違います。
詳しくは整体院・整骨院の症状別ページの作り方で扱っています。
| 比較の軸 | ホームページ | LP | 症状別ページ |
|---|---|---|---|
| 目的 | 院を知ってもらう | 1つの行動を取らせる | 症状で検索した人を集める |
| 他ページへのリンク | 貼る | 原則として貼らない | 貼る |
| 更新頻度 | 随時 | 広告の成績を見て差し替え | 書き足して育てる |
| 想定寿命 | 数年 | その広告を出している間 | 数年 |
| 主な流入元 | 検索、地図、紹介 | 広告 | 検索 |
整体院・整骨院のLPが要るのは、広告・自費メニュー・開院前の3つの場面
ホームページがあるのにLPを制作する場面は、そう多くありません。費用に見合う使い道は3つです。
リスティング広告やSNS広告の着地先として使う
広告からの流入は、1クリックごとに費用が発生します。訪問者をページ内で迷わせるほど、広告費を無駄にしてしまいます。伝える順番を固定でき、他のページへの逃げ道がないLPは、この用途と噛み合います。
産後骨盤矯正や交通事故対応など、対象が限られるメニューに使う
メニュー一覧に1行で並んでいる状態では、そのメニューを必要としている人に届きません。対象が限られるほど、伝えるべき前提も変わります。1枚を丸ごと使えば、対象の人にだけ通じる書き方ができます。
ホームページが間に合わない開院前の暫定手段として使う
開院日が決まっているのにホームページ全体の制作が間に合わないとき、1枚だけ先に公開して予約を受けられます。ページ数が少ない分、短い期間で作れます。ただし暫定です。開院後に検索や地図から流入を取るなら、結局、ホームページも必要になります。

広告からリンクした時点で、LPには広告規制が及びうる
整骨院・接骨院・鍼灸院には、整体にはない広告の制限が法律でかかっています。この制限は、広告そのものだけでなく、広告のリンク先にも及びます。
施術所のウェブサイトが原則として広告に当たらないのは、認知性を満たさないため
あはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月18日 厚生労働省)のⅡの6(6)は、施術所のウェブサイト等について、情報を得ようとする人が自らURLを入力したり検索したうえで閲覧するものであるため、広告の3要件のうち認知性を満たさず、引き続き原則として広告とは見なさないとしています。
症状の説明や施術内容をホームページに載せられるのは、この原則があるためです。
ただし、原則の外に置かれるだけで、何を書いてもよいという意味ではありません。ガイドラインのⅥの2は、この項目が「インターネット上の施術所等の情報全般を対象とする」と定めています。広告に当たらないウェブサイトにも、Ⅵの4が並べる掲載すべきでない事項は及びます。
リスティング広告やバナー広告は広告に当たり、リンク先も一体として見られる
ガイドラインのⅥの1(1)アは、インターネット上のバナー広告や、検索サイトの運営会社等に費用を支払って上位に表示される状態にしたものを、3要件を満たす場合に広告として扱うとしています。そのうえで、バナー広告等にリンクしている施術所等のウェブサイト等についても、バナー広告等と一体的な関係にあることによって一般人が容易に認知できる状態にあることから、認知性の要件を満たすと続けます。
同じⅥの1(1)のウは、リスティング広告と動画広告を例に挙げ、それらを入り口として閲覧するウェブサイト等も、規制される媒体と一体であることから規制対象となる広告として取り扱うとしています。
広告の着地先として作ったLPは、まさにこの入り口の先にあるページです。誘引性と特定性はもともと満たしているので、認知性がそろえば3要件が埋まります。広告として扱われる可能性があります。
柔道整復師法第24条が定める、広告できる事項の範囲
広告として扱われた場合、書ける事項は限定列挙です。柔道整復師法第24条第1項が挙げているのは、柔道整復師である旨と氏名および住所、施術所の名称・電話番号・所在の場所を表示する事項、施術日または施術時間、そして厚生労働大臣が指定する事項の4つです。
指定事項は、ほねつぎ(または接骨)、届出をした旨、医療保険療養費支給申請ができる旨(脱臼または骨折の患部の施術に係る申請については、医師の同意が必要な旨を明示する場合に限る)、予約に基づく施術の実施、休日または夜間における施術の実施、出張による施術の実施、駐車設備に関する事項です。
この中に、症状名、メニュー名、料金、実績、口コミはありません。さらに同条第2項は、第1項第1号および第2号の事項を広告する場合であっても、その内容が「柔道整復師の技能、施術方法又は経歴に関する事項にわたつてはならない」と定めています。
「産後骨盤矯正専門」「痛くない矯正」といったファーストビューの見出しは、この線を越えます。紙のチラシで何が書けなくなるかは整体院・整骨院のチラシ規制で扱っていますが、広告として扱われたLPは同じ土俵に乗ります。
広告に当たらないLPでも、避けるべき表現は変わらない
ガイドラインのⅥの4は、絶対安全、絶対に治る、根本治療、〇〇に効く、改善率〇%、顧客満足度No.1といった表現を挙げ、掲載すべきでないとしています。加工・修正した施術前後の写真、便益を与える感想だけを取捨選択した体験談、他院との比較で優良性を示す表現も同じです。ここはウェブサイト等の全般が対象なので、広告を出すかどうかに関係なく適用されます。
自費の整体やリラクゼーションのメニューは柔道整復の業務そのものではありませんが、施術所について広告する以上、第24条の外にあるとは限りません。景品表示法も業種を問わず適用されます。
判断が分かれる部分なので、出稿前に所轄の保健所にご確認ください。
出典:柔道整復師法、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(いずれもe-Gov法令検索)
あはき・柔整広告ガイドライン(厚生労働省・令和7年2月18日)
LPに並べる要素は、院の情報ではなく来院までの不安の順に決まる
前章のとおり、広告として扱われた場合に載せられるのは、柔道整復師である旨と氏名・住所、施術所の名称・電話番号・所在の場所、施術日または施術時間、そして厚生労働大臣の指定事項(ほねつぎ、届出をした旨、療養費支給申請ができる旨、予約・休日夜間・出張の施術、駐車設備)に限られます。
以下は、広告として扱われない自費メニューのLPを想定した並べ方です。
ファーストビューで、誰のどの症状に向けたページかを言い切る
スクロールせずに見える範囲で対象が伝わらなければ、そこで閉じられます。院名を大きく置いた見出しは、この役目を果たしません。「産後6か月までの骨盤の不調」のように、読んだ人が自分のことだと分かる言葉を先に置きます。
効果の断定と最上級表現が使えないのは、前章のとおりです。
施術の流れ・所要時間・料金・国家資格の有無を1枚に収める
初めて来る人が知りたいのは、当日何をされるのか、どれくらいかかるのか、いくら払うのかです。ガイドラインのⅥの3も、自費の施術については内容と通常必要とされる費用、主なリスクを掲載すべき事項として挙げています。
料金の書き方は整体院・整骨院の料金表で扱っています。
予約手段は電話とLINEとフォームを並べて置く
予約の手段を1つに絞ると、その手段が苦手な人を取りこぼします。電話をかけたくない人はいますし、営業時間外に見ている人もいます。ページの上部と下部の両方に同じ予約導線を置いてください。
LINEの設計は整体院・整骨院のLINE予約で扱っています。

LPを作らなくていい院がある
制作の側から言うことではありませんが、費用をかけても回収できない条件があります。
広告を出す予定がないなら、ホームページの症状別ページで足りる
LPは広告とセットで機能します。検索からLPに人を集めようとしても、1枚では扱えるテーマが1つに限られ、内部リンクもないため、検索経由の流入は伸びにくくなります。広告を出さないなら、同じ費用をホームページの症状別ページに使うほうが残ります。
着手の順番は整体院・整骨院のSEO対策で扱っています。
メニューを1つに絞れないなら、LPの効果は出にくい
1枚で複数のメニューを訴えると、結局トップページと同じものができます。絞れないのは、どのメニューで新規を取るかが決まっていないからです。その状態でLPを作っても、広告費と制作費が両方かかります。
LPとホームページは、どちらから着手するか
順序は、広告を出すかどうかで決まります。
広告を出す予定がないなら、ホームページが先です。検索と地図から流入を取る土台になり、あとでLPを作るときの素材にもなります。制作費の内訳は整体院・整骨院のホームページ制作費用で扱っています。

広告を出す予定があるなら、ホームページを作ったうえで、着地先のLPを別に用意します。症状別ページを広告の入り口にすると、そのページが広告として扱われる範囲に入り、書ける事項から外れます。広告費を払った結果、いちばん見せたいページが見せられなくなります。
ホームページがあり、広告も出していない状態で新規を増やしたいなら、先に見るのは地図の枠です。整体院・整骨院のMEO対策は費用を払って表示順を買う取り組みではないため、Ⅵの1(1)アが挙げるバナー広告等には当たりません。ただし、広告に当たらないことと、載せる内容に制限がないことは別の話です。
Ⅵの2はこの項目がインターネット上の施術所等の情報全般を対象とすると定めており、Ⅵの4(2)はウェブマッピング等において自院に便益を与えるコメント等を掲載させるべきでないと名指ししています。地図の枠に載せる情報にも、Ⅵの4の掲載制限は同じように及びます。LPを1枚制作するより先に、確かめる場所があります。
FAQ
よくある質問
整体院・整骨院のLPについて、よくいただく質問にお答えします。
LPとホームページは、どちらを先に作るべきですか?
広告を出す予定がないなら、ホームページが先です。症状や地域名で検索した人、地図から探した人を受けられる土台になります。LPは広告とセットで機能するページなので、広告を出さないまま1枚だけ用意しても、見てもらう経路がありません。広告を出す予定があるなら、ホームページを作ったうえで、着地先のLPを別に用意してください。既存の症状別ページを広告の入り口にすると、そのページが広告として扱われる範囲に入り、書ける事項から外れます。
LPだけで整体院・整骨院の集客はできますか?
広告費を出し続ける前提であれば成り立ちますが、広告を止めると広告由来の流入がなくなるのが一般的です。1枚のページでは扱えるテーマが1つに限られ、内部リンクで関連ページへつなぐこともできないため、検索経由の流入は伸びにくくなります。地域名や症状名で検索した人に見つけてもらう経路、Googleビジネスプロフィールから地図で見つけてもらう経路は、ホームページ側で作るものです。LPは、その土台があるうえで広告の受け皿として制作するものと考えてください。
LPにも整骨院の広告規制はかかりますか?
リスティング広告やバナー広告の着地先にした場合、かかる可能性があります。あはき・柔整広告ガイドライン(令和7年2月18日 厚生労働省)のⅥの1(1)は、バナー広告等にリンクしている施術所等のウェブサイト等について、バナー広告等と一体的な関係にあることによって一般人が容易に認知できる状態にあるため、認知性の要件を満たすとしています。リスティング広告や動画広告を入り口として閲覧するウェブサイト等も、広告として規制される媒体と一体であることから規制対象として取り扱うと続きます。広告として扱われれば、柔道整復師法第24条の限定列挙が適用され、症状名やメニュー名、料金、実績、口コミは範囲から外れます。個別の判断は所轄の保健所にご確認ください。
LPの制作費用の相場はどれくらいですか?
LPの費用は、ページ数ではなく中身の作り方で変わるため、一律の相場を示せません。原稿と写真を院側で用意してテンプレートに流し込む場合と、取材して原稿を書き、写真を撮り、広告の成績を見ながら差し替える場合とでは、同じ1枚でも工程がまったく違います。見積もりを比べるときは、金額だけでなく、原稿を誰が書くのか、写真は誰が撮るのか、公開後の差し替えが含まれるのかを確認してください。あわせて、LPの費用は広告費とセットで見ます。制作費だけを抑えても、広告を出せなければ回収できません。
既存のホームページの中に1ページ作るのではだめですか?
できます。ただし、そのページからヘッダーやフッターの他ページへのリンクが貼られていると、広告で呼んだ人がメニュー一覧や別の症状ページへ流れ、目的の予約から離れます。ホームページ内に置くなら、そのページだけメニューを外し、予約以外の出口を作らない設計にしてください。もう1つ注意する点があります。広告の着地先を既存のホームページ内に置くと、広告と一体のものとして扱われる範囲がどこまでかを、判断しにくくなります。広告を出すなら、着地先は独立した1枚として分けておくほうが、範囲を確かめやすくなります。
LPは、広告とセットで初めて意味を持つ
LPとホームページの違いは、見た目でも枚数でもありません。回遊させるか、1つの行動だけを取らせるか。この設計の差が、そのまま向き不向きの差になります。広告を出さない院がLPだけを1枚持っても、扱えるテーマは1つに限られ、内部リンクもないため、検索からの流入は伸びません。
そして、広告の着地先にした時点で、そのページは施術所のウェブサイトと同じようには扱われない可能性があります。誘引性と特定性はもともと満たしているので、広告と一体と見られて認知性がそろえば、書ける事項は院名、所在地、施術日時、予約、駐車設備などの範囲に収まります。ファーストビューに置きたかった見出しが、そこで使えなくなります。
逆に言えば、どのメニューで新規を取るかが決まっていて、そこに広告費を出す前提があるなら、LPは費用に見合います。今日できるのは、そのメニューが1つに絞れているかを確かめることです。絞れていないうちは、LPを作っても広告費と制作費が両方かかります。
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